イタセンパラとは
名前の由来・形態
イタセンパラは、日本固有種である淡水魚です。
名前の由来は、「板」のように平らで、繁殖期(秋)に「鮮」やかな紫色のお「腹」になるため、「板鮮腹(いたせんぱら)」とよばれています。
産卵期である秋になると、オスの体には鮮やかな紫紅色の婚姻色が表れ、メスの腹部からは産卵管と呼ばれる細い管が伸びます。そして、イシガイやドブガイなどの二枚貝の中に卵を産みます。
イタセンパラ雄
写真:世界淡水魚園水族館 アクア・トトぎふ
イタセンパラ雌
写真:世界淡水魚園水族館 アクア・トトぎふ
生息地
泳ぐ力が弱い淡水魚であるため、水の流れが急な箇所では生息できません。
河川敷内のワンド(川の本流のまわりの入り江状になっていて水の流れがゆるやかなところ)やたまりなどに生息しています。
分布
大阪府の淀川水系、富山県万尾川水系、そして木曽川水系の3ヶ所の狭い範囲のみに生息しています。
濃尾平野ではかつて、多くの水系に生息していました。
市を流れる木曽川では、国土交通省木曽川上流河川事務所が平成20年(2008年)に実施した「河川水辺の国勢調査」等において、その両岸(羽島市及び愛知県一宮市)で15年ぶりに生息が確認されました。
イタセンパラを取り巻く現状
イタセンパラは、国の天然記念物に指定されているとともに、国内希少種野生動植物種、国のレッドリスト絶滅危惧種IA類にも指定されており、絶滅が危惧されています。
考えられている主な減少要因
- 生息環境の悪化(水質汚濁、水路のコンクリート化、ワンドの減少または状態の変化)
- 外来魚(ブラックバス等)の影響
- 密漁
生息環境について
イタセンパラは、藻類を食べ、卵を二枚貝に産み付けます。また、二枚貝の幼生(子どものこと)は、ヨシノボリ類(魚の種類)に寄生します。このように川の中では多くの生物が他の生物と強くつながりあって生きています。
イタセンパラを保護するということは、このような生物のつながり、すなわち「生物多様性」を守ることともいえます。
市内の飼育状況
市では「岐阜県水産研究所」の指導のもと、「環境省中部地方環境事務所」からイタセンパラを貸与していただき、市立図書館と木曽川流域周辺の小学校にて展示・飼育しています。
なお、許可なくイタセンパラを捕獲したり、飼育したりすると罰せられますのでご留意ください。
展示場所
- 市立図書館、正木小学校(平成28年9月30日から飼育開始)
- 桑原学園前期過程(平成29年9月26日から飼育開始)
- 中島小学校(令和2年10月3日から飼育開始)
- 羽島中学校(令和3年9月16日から飼育開始)
各学校での観覧には、制限があります。ご了承ください。
図書館は、どなたでもご覧いただけます。(開館時間中に限ります)
時期によってはイタセンパラが飼育されていない場合もあります。
岐阜県の取り組み
岐阜県は平成24年度からイタセンパラの保護事業を行っており、環境省から貸与されたイタセンパラの繁殖等の研究を行っています。
事業内容は、岐阜県水産研究所に野外池を整備し、生息域外で飼育繁殖技術の確立を目指し、本来の生息地に野生復帰させることも視野に入れ種の保存を図ることです。
この事業などの中で育ったイタセンパラを市で飼育・展示しています。
羽島市の取り組み
市では、「図書館及び木曽川流域周辺の小学校での飼育・展示」のほか、下記の取り組みを行っています。
- 関係団体とともに「木曽川イタセンパラ保護協議会」に加盟し、木曽川パトロール活動を実施
- 市民を対象とした「イタセンパラ塾」の開催
- 市内学校での飼育・展示(平成28年から)
- 外来魚駆除体験(平成30年)
- 地域の方とともに保護・保全活動を実施していく羽島市イタセンパラサポーター制度
これらの取り組みや学校で行っている総合的な学習の時間などによって、市民が生息環境などに興味をもち、保護活動や環境教育につながっていくことを期待しています。