これまで、自治会、町内会等では団体名義では不動産登記等を行うことができず、全国の自治会、町内会等で不動産等の資産を保有している場合は会長名義などで登記等を行っていました。
ところが、こうした個人名義の登記は、名義人が転居や死亡等により自治会等の構成員でなくなった場合に、名義の変更や相続などの問題が生じることになります。
このような問題に対処するために、平成3年に地方自治法が改正され、一定の手続きを行うことで自治会等の法人格取得が可能となり、団体名で不動産等の登記ができるようになりました。(平成3年4月2日施行)
この法人格を取得した自治会等のことを「認可地縁団体」と言います。
また、認可の目的について、令和3年5月の地方自治法改正により、不動産等の保有を前提としないものに見直し、不動産等の保有の有無に関わらず地域的な共同活動を円滑に行うために認可を受けることができるようになりました。(令和3年11月26日施行)
認可の要件
自治会等が地縁団体の認可を受けるためには、次の要件を全て満たしていることが必要となります。
- 住民相互の連絡、環境の整備、集会施設の維持管理等良好な地域社会の維持及び形成に資する地域的な共同活動を行うことを目的とし、現にその活動を行っていること。
- 地縁による団体の区域が客観的に定められていること。
- 地縁による団体の区域に住所を有するすべての個人が構成員となることができるものとし、現にその相当数の者が構成員となっていること。
- 規約を定めていること。
認可申請の準備
申請をするにあたっては、まずは自治会(区)等の中でよく話し合い、総会において次に記す事項の議決を得る必要があります。
規約の整備
規約では次の8つの事項について、全て定めていなければいけません。
- 目的
- 名称
- 区域
- 主たる事務所の所在地
- 構成員の資格に関する事項
- 代表者に関する事項
- 会議に関する事項
- 資産に関する事項
構成員の確定
構成員を明確にする必要があるため、総会にて構成員を確定させる必要があります。
また、認可申請にあたっては構成員全ての氏名と住所を記した名簿の提出が必要になります。
代表者の決定
認可申請は当該団体の代表者が行うこととなっているため、総会にて代表者の決定をする必要があります。
保有する資産の確定
保有(予定)資産を明確にする必要があるため、総会にて資産の確定の必要があります。
認可申請に必要な書類
- 認可申請書
- 規約
- 認可を申請することについて総会で議決したことを証する書類 (総会の議事録等。議長及び議事録署名人の署名・押印のあるもの)
- 構成員の名簿
- 良好な地域社会の維持及び形成に資する地域的な共同活動を現に行っていることを記した書類 (事業報告書、決算書、事業計画書、予算書等)
- 承諾書(申請者が代表者であることを示す書類)
- 区域を示した図面
申請から法人化までの流れ
- 総会を開き、法人化のために認可申請をすること、法人の代表者を決定することなどを決議します。
- 団体から市へ必要書類を提出し、認可申請します。
- 市において提出書類の確認等を行い、認可要件に該当しているかを審査します。
- 市で認可の告示を行います(認可の告示は法人登記に代わるものです)。
告示後の手続き
印鑑登録
団体の代表者の申請により、団体名義での印鑑登録ができるようになります。
各種証明書の交付
告示日以降、「認可地縁団体証明書」の発行が可能になります。この証明書は、法務局で不動産登記をする際に必要になります。
また、団体名義での印鑑登録をしている場合は、「認可地縁団体印鑑登録証明書」の発行が可能になります。
証明書が必要な場合は、市民協働課へ請求を行ってください。なお、いずれの証明書も、発行の際には発行手数料が必要です。
不動産登記
告示後に発行が可能となる「認可地縁団体証明書」を添付して申請することで、団体名義での不動産登記ができるようになります。ただし、他の書類も必要となりますので、詳しくは岐阜地方法務局に問い合わせてください。
届出事項に変更が発生した場合
認可地縁団体の代表者は、市へ届出した規約の内容に変更があるときは、「規約変更認可申請書」に添付書類を添えて、市へ申請しなければなりません。
また、市へ届出した告示事項に変更があった場合には、「告示事項変更届出書」に添付書類を添えて、市へ届出しなければなりません。
なお、告示事項とは、次のことを指します。(その自治会等の区長が代表者となっており、区長が変更した場合は、その都度、市への届出が必要になります)
- 団体の名称
- 規約に定める目的
- 区域
- 主たる事務所
- 代表者の氏名及び住所