2023年05月01日

    持続可能な経営を目指す

     国は2022年度の「骨太の方針」で、新型コロナウイルス感染症対策として行ってきた地方への財政移転について、内容や成果を検証。感染収束後、速やかに地方財政の歳出構造を平時に戻すと定めました。これは、非常時における財政支出が平常時に戻った後も、元の水準には戻らない事態となることを警戒した指摘であるといえます。

     わが国では、同感染症のパンデミック発生以降、補正予算を含み、異例の規模ともいえるコロナ関連予算が組まれてきました。まん延期には、感染症対策費を投入。22年度に入ってからの補正予算では、ウクライナ情勢等に起因する原油価格や、物価高騰への対策に予算が充当されました。国の予算や経済対策は22年末から、ポスト・コロナに転化したのです。

     その一方、地方は23年に入ってからも8波の影響を受け、医療現場や福祉施設等が、緊迫した状況に置かれてきました。自治体が続けてきたコロナ対策は、次のとおりです。

    1. 感染予防や拡大抑制に関する、医療現場対策と公衆衛生対策。
    2. コロナ禍により影響を受けた、事業者や社会的弱者の方に対する補償・支援対策等の社会経済対策。
    3. コロナ禍にあっても、円滑に行わなければならない通常業務体制の確保と、首長によるトップマネジメント。

     このうち1と3については、コロナ禍による経験値を踏まえ、緊急時には速やかに対応できる体制が整いつつあります。今後、自治体が注力しなければならない課題は、2.の社会経済対策であると考えます。

     コロナ禍では、一時的な特別定額給付金のほか、各種の貸付金や支援制度が特例的に設けられました。そのため、甚大なコロナ禍にあっても、生活的に困窮する方の数が大きく増加することはありませんでした。一連の社会経済対策が、一定の効果を挙げた証左です。

     しかし各制度の申請は終了し、貸付金については償還が始まっています。電気・ガス、食料品等の価格高騰は、広い所得層への生活不安を高めています。コロナ禍によって地域活動も停滞。人と人とのつながりが、希薄化しました。羽島市においても、児童・生徒の引きこもりが増加しています。

     これからの自治体には、将来負担を残さない持続可能性に視点を置き、公平性を追求する経営姿勢が必要であると考えます。持続可能性とは、現状維持を目指すものではありません。現役世代のニーズを捉えながら、これまでも羽島市が行ってきた財源性、合理性、効率性、発展性、持続性の5つの視点に公平性を追加。適時的確に軌道修正しながら、将来世代の選択肢を豊かにすることが必要だと思います。