2023年06月01日

    空家対策は早めに

     羽島市は2016年、岐阜県内初の「空家等対策計画」を策定。17年4月には「羽島市空家等対策の推進に関する条例」を定めました。同条例により、空家が原因となって生じる事態に対し、緊急的な措置が必要と認めた場合には、最小限度の対策を講じることができることとしました。22年度では、空家2階部分のはがれかけた庇を除去した件数が1件。空家注意の喚起表示設置を2件行いました。

     2015年に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法」では、空家等とは概ね、年間を通して居住もしくはその他使用がされていない建築物(住宅に限らない)を指すと定義付けられました。

     総務省は、空家を次の4種類に分類しています。「売却用の住宅」、「賃貸用の住宅」、「二次的住宅」については、別荘として使用されていたり、売却・賃貸用に管理されていたりすることが考えられます。一方、「その他の住宅」は、現在住む人がなく、長期にわたって不在であり、放置されている可能性が高い空家といえます。

     その他の住宅に分類される空家は、居住者の死亡や転居、相続した家族が住まないといったことから発生します。生まれ育った家であることから売却をためらったり、他人に賃貸することに抵抗感を抱いたまま長期間が過ぎると、家屋が老朽化。居住どころか、周囲に危険を及ぼす空き家となるのです。

     わが国では、この30年間に空家が2倍以上に増加。倒壊や崩壊をはじめ、ごみの不法投棄、火災の発生等の悪影響が心配されます。

     羽島市では、国の特別措置法に基づく「特定空家等」を、これまで9件認定。そのうち4件が除却され、2件は略式代執行を行いました。

     空家の発生は、身近な社会問題です。親御さんが健在のうちに、住んでいる家をどうするかについて話し合っておくことが必要です。

     市では2016年の計画策定時から、「わが家の終活セミナー」を、NPO法人と開催。空家や特定空家等の発生予防の啓発や、空家の所有者、管理者に対する相談事業を実施しています。また、空家等の利活用や管理促進を図るため、18年から空き家・空き地バンクを創設。これまで18件が登録し、9件が流通・解決しています。

     24年4月からの民法改正により、不動産の相続登記が義務付けられています。相続発生後、3年以内に登記申請を行わないと、10万円以下の過料対象になるおそれがあります。

     空き家相談では、相続手続き等の専門家である司法書士等による相談も行っています。相談窓口は生活安全課です。早め早めの対応で、様々な問題を生じる空家を発生させないよう、市役所にご相談ください。