2018年04月25日

     羽島市は、2名の著名な建築家の出身地であります。

     お一人目は、モダニズム建築の巨匠と呼ばれる、坂倉準三氏です。坂倉氏は、戦前、戦後の建築界を牽引する存在として活躍しました。

     坂倉氏は、羽島郡竹ヶ鼻町(現・羽島市竹鼻町)に生まれ、東京帝国大学文学部美術史学科に入学、卒業後、フランスに渡り、近代建築の巨匠とされるル・コルビジェに師事し、建築を学び大いに影響を受けました。

     代表的な建築物は、万博建築部門でグランプリを受賞したパリ万博・日本館(昭和12年)、神奈川県立近代美術館(昭和26年)など多くの作品があります。羽島市の本庁舎もその一つであり、昭和34年に完成いたしました。

     羽島市の本庁舎は、第12回日本建築学会賞(昭和35年)を受賞し、当時の新聞には、「海外の建築を取り入れて設計したホテル式の豪華な建物」と評されました。平成15年には、DOCOMOMO Japanにより、「日本のモダン・ムーブメント100選」にも選ばれ、高い評価を受けた建物であります。

     お二人目は、逓信建築の先駆者的存在であり、モダニズム建築を実践された、山田守氏です。山田氏は、曲面や曲線を用いた個性的、印象的なデザインの作品を残されました。

     山田氏は、羽島郡上中島村(現・羽島市上中町)に生まれ、東京帝国大学建築学科に入学、卒業後、逓信省(現・総務省)に入庁し、同氏もまたヨーロッパの近代建築に触れ、大きな影響を受けました。

     代表的な建築物は、日本武道館や京都タワーなど多くの作品があり、他の建築物において日本建築学会作品賞を受賞され、DOCOMOMO Japanの「日本のモダン・ムーブメント100選」にも選ばれています。

     このように、著名な建築家が設計した評価の高い建築物は全国に多く点在していますが、時代の趨勢とともにその建物のあり方も課題となっているところであります。

     羽島市においても例外ではなく、本庁舎は、建築後59年が経過しますが、計画的に時代の変化に対応しながら、耐震補強、改修等がなされないまま現在に至っています。また、耐震性の不足だけでなく、建物の内外部双方の老朽化やユニバーサルデザインへの未対応など様々な課題・問題が山積しています。そのため、耐震診断を実施したうえで、有識者による庁舎検討委員会を立ち上げ、検討の結果、現本庁舎を庁舎として使用せず、「現敷地内に新庁舎を建設することが最良」との答申を平成29年7月28日に得ました。

     羽島市は、答申の結果と平成29年度に実施したタウンミーティングや市民アンケート調査の結果を踏まえ、総合的に判断し、現敷地内に新庁舎を建設する方針を決定いたしました。

     また、新庁舎の建設と現本庁舎の問題は、別の問題として捉え、現本庁舎の今後のあり方については、今までも広報はしま等を用いてお知らせしたとおり、存続には膨大な費用が掛かることを含め、市民の皆様に正確な情報をお知らせしながら、ご意見を伺ったうえで、慎重に方策を見極めたいと考えております。

    羽島市役所本庁舎の画像

    羽島市役所本庁舎