2023年04月01日

    不登校には「適応指導」で対応

     不登校の小中学生が、過去最多の24万人。昨年末、文部科学省が2021年度の不登校の全国状況に関する調査結果を発表し、衝撃が広まりました。同調査によれば、不登校の実数は24万4940人で、20年度に比べて24.9%増加。増加率も過去最大となりました。

     増加要因について同省は、新型コロナウイルス感染症により学校活動が制限され、登校する意欲が弱まった。欠席に対する抵抗感が薄れた。学級閉鎖等による生活リズムの乱れ。子ども同士の人間関係の形成や、コミュニケーションが難しくなった等を挙げています。

     国は、不登校の児童生徒たちを支援するため「教育機会確保法」を定め、2017年2月から施行しています。同法は、学校で勉強する機会を失った児童生徒に対し、各々に合った教育環境を保証するために制定されました。

     不登校になったり、なりそうな児童生徒の多くは、それを自己責任と感じてしまいがちです。自らを追い詰めることで事態は深刻化し、結果として長期間、学習機会を失う事態となります。

     同法では、不登校児童生徒の休養の必要性を認め、施行以来、学校以外での学習環境を保証する方策を順次整備してきました。公的機関では教育支援センター、民間ではフリースクール等による学習機会が広まり、教育委員会や学校との連携も進んでいます。

     羽島市でも、青少年問題協議会を1月に開催。2022年4月から12 月までのデータに基づき、状況把握と方策検討を行いました。同期間における不登校の児童生徒数は、22年が130人で、21年の91人から42.9%増加。新規不登校者数の割合が、半数を占めています。また、中学校(以下、義務教育学校後期課程含む)でも、1年生の新規不登校者が増加し、全体の半数を占めています。

     不登校の要因では、無気力や不安、家庭状況等がこれまでと同様、上位に挙がっています。今回の調査では、中学生において「学校生活」を要因に挙げる数が増加しました。コロナ禍により、学校にいる時間や休日の外出等が大幅に制限。それに伴い、家庭内での生活における不安感や学習の遅れへの懸念が、学校生活への積極的な思いを喪失させたのではないかと思われます。

     羽島市では、市内の学校に新たな適応指導教室を設け、学校という環境のなかで個人に応じた支援や、小集団活動による社会性を養う働きかけを行う体制の検討を進めています。

     保護者の方々にも子育てをはじめ、子どもさんの学校生活や家庭内での対応等、悩みごとがありましたら、学校や教育支援センター、子ども家庭センター、適応指導教室こだま等にご相談ください。