2022年12月01日

    各国と連携し 温暖化抑制を

     9月号のコラムで、羽島市も脱炭素化への取り組みを始めるとお知らせしました。多くの地方自治体と足並みを揃え、ゼロカーボンシティを目指す活動を市の環境基本計画に盛り込んだところです。

     11月6日からエジプトで、27回目の国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP27)が開かれました。条約事務局と国連環境計画(UNEP)は、同会議の資料として報告書を作成。10月27日に公表しました。ところが、その内容がセンセーショナルであったため、会議開催前から波紋が広がりました。

     条約事務局の報告書では、現在、各国が定めている削減目標を合わせても、2030年の世界の温暖化ガス排出量は2010年に比べて10%増加。UNEPの報告書では、21世紀中に地球の気温は産業革命前に比べ、2.5度前後上昇するという予測が示されました。

     気候変動抑制に関する国際的な協定が結ばれた2015年のパリ協定では、「産業革命前と比べた世界の平均気温上昇を2度より低く保ち、1.5度に抑える努力をする」と目標が定められています。この1.5度目標を達成するためには、2030年までに世界規模で、2010年と比べて二酸化炭素排出量を45%削減。2050年には実質ゼロとし、メタン等の温室効果ガスの大幅削減も実現しなければなりません。

     二酸化炭素排出量が最も多いのは中国で、世界の30%を占めています。以下、14%のアメリカ、8%のEU、ロシア、インドの他、新興国や途上国の削減強化が必要です。早急に気候変動計画を見直し、2030年までの8年間で実行する体制づくりが求められます。

     経済成長に主眼を置く途上国では、電力をはじめとするエネルギー消費が増大しています。先進国側が低炭素を求めるなら、再生可能エネルギーへの転化資金を、先進国が途上国に支援すべきとの主張です。今日の温暖化の出現は、19世紀以降、先進国が温暖化ガスを大量に排出した結果であり、その弁済を負担すべきとの意見です。

     削減自体への先進国側の取り組みも、乱れています。2月以降のロシアのウクライナ侵攻が、安定したエネルギー確保を阻んでいるからです。排出量の多い、石炭火力発電の建設や再稼働により、化石燃料の利用増が危惧されています。資源価格の高騰による、深刻な経済打撃も途上国への支援を困難にしています。

     わが国では、原子力発電所の新増設も議論されています。しかし、どんなに急いでも2030年の温暖化ガスの13年度比46%削減には間に合いません。日本の温暖化対策への技術力を活かし、全ての国が分断することのない連携強化の役割を、今こそ積極的に果たすべきと考えます。