2022年09月01日

    脱炭素化へ羽島も始動

     2016年に発効したパリ協定では、世界の平均気温の上昇を産業革命以前に比べ、2℃より低く抑制。1.5℃に抑えるよう努めることと、21世紀後半には温室効果ガスの排出を実質ゼロとする、世界共通目標を定めています。

     2021年にイギリス・グラスゴーで開かれた、国連気候変動枠組条約締約国会議(COP26)では、改めて世界全体でパリ協定における1.5℃目標を目指す合意が明記されました。日本では、それに先立ち2020年10月、当時の菅総理大臣が、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロ(カーボンニュートラル)にする「脱炭素社会の実現」を目指す宣言を行いました。

     さらにわが国は2021年10月、2030年までに2013年度比46パーセントの削減を行い、50パーセントの高みを目指す「地球温暖化対策計画」を作り上げました。日本を含めて世界では、2050年の目標年次までに、カーボンニュートラルを目指す流れは定まっているのです。

     2021年末には、国内でゼロカーボンシティを表明している都道府県や、市町村等の地方自治体数は500を超え、これらの総人口は1億1250万人に上っています。羽島市も、市の環境基本計画において、2050年までの「ゼロカーボンシティ」を表明しています。

     国が示している削減目標を達成するには、地域の状況に応じた対策を進められる地方自治体の役割は重要です。なぜなら自治体は、住宅や公共施設、まちづくり、産業振興といった、住民生活や事業活動と直結する行政施策を行っているからです。地方自治体が国と目標を共有し、円滑な対策を講じていくことが、脱炭素化の実現につながります。

     今後、市町村は、国が定める自治体向けの実行計画や実施マニュアルに基づき、脱炭素化に向けた目標と、その実現に必要となる再生可能エネルギー等の導入に関する指標を設定。そこから生じる利害関係の調整をはじめ、地域ごとで必要となる環境面への配慮を含めた実行計画を策定することとなります。

     しかし市町村には、独自で再生可能エネルギーを導入することは困難であり、単独での脱炭素化の実現はハードルが高すぎます。少なくとも、近隣自治体との連携により、脱炭素化実行計画の策定を図り、実質的なゼロカーボンを目指す行動が必要であると考えます。

     気候変動や脱炭素化への取り組みは、かつての道徳・倫理の観点から、暮らしと命を守る社会経済テーマへ転換しています。持続可能な社会実現の一翼を担う自治体として、今後も脱炭素化への取り組みを推進してまいります。