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愛 City はしま(市長のコラム)第87回

[2021年11月1日]

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減少する出生率

 第86回でお知らせしたように、世界人口のピークが2100年から2064年に早まるとの予測が発表されました。その主因をワシントン大学は、2050年までに、世界の77パーセントに当たる国や地域が、出生率の落ち込みによって人口が維持できなくなるとしています。すでに25パーセントの国で、労働者人口も減り始めています。

 ワシントン大学の予測では、中国の人口は2022年から減少に転じ、2100年には現在の14億人から半分近くになるとしています。中国は先ごろ、長年継続してきた人口抑制の国家策である「一人っ子政策」を転換。3人までの出産を認めるというニュースが、世界中を駆け巡りました。

 めざましい発展を続けてきたベトナムは、2017年に高齢化社会が到来。労働者不足を防ぐため、今年から段階的な定年延長に着手しています。発展途上国でも、労働者不足が深刻さを増しているのです。

 先進国では、人口増加のペースが鈍った後も移民によって労働者不足を補い、経済成長を続けてきました。2020年の移民は、約2億8000万人で、20年前の1・6倍となっています。アメリカでも、1990年代の情報技術革命は、移民によって支えられたといわれています。

 反移民制度を続けてきたハンガリーでも、労働者不足に対応するため、外国人の労働許可を緩和。従前の5倍以上の移民を受け入れています。移民に消極的であったドイツも、昨年からEU圏以外の労働者受け入れを拡大。オーストラリアでも、農業分野への就労を条件とし、ワーキングホリデーの延長に踏み切りました。

 今や先進国の経済活動には、移民による労働人口確保が不可欠となっています。ところが世界的な人口減少は、移民の送り出し国にも波及。インドや中国に代表される若年人口の減少が、先進国間の移民受け入れ競争の激化につながる懸念があります。また、風俗習慣の差により、スウェーデンのような移民受け入れ可否が、社会問題化するケースもあります。世界的なコロナウイルス感染症のまん延も、国と国との往来を阻害。わが国だけではなく、先進諸国において、外国からの労働者受け入れに関する制約が課せられました。

 人口減少時代の到来は、移民に頼り続ける雇用確保を困難にします。当面は、外国人の方々の受け入れに際し、待遇面だけではない寛容な制度設計と、工夫を凝らす姿勢が求められます。長期的には、経済活動全体の生産性向上に向けての取り組みを進め、協調できる国際関係の構築を図る必要があると思います。

(次回に続く)

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