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【広報はしま特集対談】観光行政の今と未来

[2019年7月29日]

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観光行政の今と未来

対談者プロフィール

東松寛文(とうまつひろふみ)

 1987年羽島市生まれ。神戸大学卒業後、平日は激務の広告代理店で働くかたわら、週末で世界中を旅する「リーマントラベラー」に。また、週末で人生を変えた休み方のスペシャリストとして、「休み方研究家」としても活動する。社会人3年目に旅に目覚め、7年間で58カ国123都市に渡航。2016年、3カ月で5大陸18カ国を制覇し、世界一周を達成。「地球の歩き方」から旅のプロに選ばれる。以降、テレビ、新聞、雑誌などのメディア出演、執筆多数。全国各地で講演も実施。

対談のあらまし

 広域観光の推進、インバウンドの獲得、多様なプロモーション展開など、観光を取り巻く状況は日々変化している。羽島市で独自の観光施策を展開する松井市長と、広告代理店とトラベラー(旅人)の視点を併せ持つ東松氏が意見交換を行った。

市の観光資源とその優位性

松井

 羽島市は円空上人の生誕地として知られています。しかし、それを観光資源として捉えた時、円空上人や円空仏だけで人が集まるか、おもてなしの環境があるかと尋ねられると、厳しい状況。滞留性を高めるところまで至っていないのが正直な感覚です。一方、他都市と比べて優位性があるのは新幹線や高速道路のインターチェンジが立地する交通利便性で、発着点としてのポテンシャルは高いです。       

東松

 立地特性を活かして、現在、羽島市では円空ロード事業を展開していますが、動画や特設ウェブサイトなど、良くできていると感じました。

松井

 円空ロードは、円空にゆかりのある自治体に呼びかけ、円空をサブテーマにして各自治体の観光地を巡る広域観光事業です。郷土の先人の事績を紹介しながら、観光客が羽島市を出発点・帰着点として、四季折々の自然が美しい美濃・飛騨に向かって旅行してもらうというコンセプトで進めているんですよ。

東松

 見所が複数あることを示すのは重要です。自治体の観光施策でありがちなのは、「この街はこんなに良いところがあるよ」「だから全部この街でお金を使ってね」という展開。ひとつの自治体だけではなく、他の自治体と連携して誘客しようというアイデアは、すごく今のトレンドに合っていると思います。

観光に求められるストーリー性

東松

 今日、SNSが発達して、世界中の観光地が検索できます。ただ、綺麗な写真に期待して訪れてみると、それほど満足できず、がっかりといったことがある。それは、旅行が事前に入手した情報の「確認作業」になりがちであることにも起因しているのではないか。「風景だけ」だと単発で終わるが、選ばれる観光地は、そこにプラスして「ストーリー性」があります。例えば、円空上人は生涯で12万体の仏像を彫ったとされますが、年間で3700体、日割りで10体くらいの計算です。この体力や能力は驚異的であり、かつその生涯にはミステリアスな部分もある。事績を紹介するだけでなく、円空上人は何を食べていたのだろうか、どこに住んでいたのだろうか、何ならそこにはご利益があるんですよとか、そういう捉え方。旅行の満足度を高めるためには、新たな発見が必要。もっと言うと、冒険のような(笑)   

松井

 母の供養のため、たくさんの仏像をつくると発願して修行し、各地を巡ったことなど、円空上人のストーリーに焦点をあてながら、各地の観光資源も併せて紹介するイメージ。発想の転換で、昇龍道のバイパスのような形ですが、東海・北陸でメインの観光ルートがある中で、「円空ロードもいかがですか」といった、自分で選べるような考え方が必要ですね。     

東松

 選べるのは重要。日本のおもてなしは、押し付けになっていることがよくあります。「この街ではこれが良いよ」と言われても、その日はのんびりしたい観光客もいる。選べると、「楽しかった。次は別のことをしよう」となり、また訪れたくなる。

松井

 マーケティングの観点から言えば、年齢層ごとに円空上人のストーリーの中で各地の観光スポットを紹介することも効果があると思います。現在、観光商品の開発を進めていますが、旅行者の視点を汲みつつ提案できると、より魅力が出てきますよね。

東松

 そこに、各地の祭りやスポーツ観戦、ご当地料理など、「期間限定」「場所限定」などといった体験を組み合わせる、かつ選ぶことができると、満足度が高くなります。

観光資源がない観光地

東松

 海外の事例で、デンマークのコペンハーゲンが「持続可能な観光産業」をテーマに取り組んでいます。簡単に言うと、環境と調和し、あるものを使いながらという感じ。観光では「体験する」ことが重要です。ポイントは「住民が参加すること」で、例えば住民が観光客にその地域を語ってくれる、一緒にご飯を食べることができるなど、僕からしたらすごく興味があります。ハワイのファーマーズマーケットなど、地元では普通の暮らしですが、外国人観光客がたくさんいる。何もかもが魅力的なコンテンツに変わる可能性を秘めていますので、観光資源がないことを逆手に、ないからこそという感じで、変に突出する必要はないと思います。

松井

 羽島市も六幸市を開催していますが、中津川市等の先進事例と比べると、まだまだ小規模。本当は、市内で開催されている朝市のようなイベントを集約して、岐阜羽島駅前で開催したい。六幸市は、ロットが少ないのですぐに売り切れ。個人的には、ぴかぴかの農産物でなくても良いと思っています。  

東松

  作った人の顔が見える、ありのままの商品は価値がありますよ。発展途上国では、食料品をスーパーではなく市場で買うのが当たり前ですが、日本では観光客が入れる市場が少ないと感じます。 

松井

 海外と異なるところは、日本には食品衛生法の規定があること。買ったものをその場で食べるということが難しいです。特産品という観点では、羽島市は米農家が多いですが、田んぼでも良い大豆が収穫できるように農業関連の施策を新たに画策しています。時間はかかるかもしれませんが、そのような取り組みが、六幸市、ひいてはファーマーズマーケットのような賑わいの創出につながっていくと思います。

東松

 駅前で企画するのもポイント。交通のハブ機能を活かして、広域連携を進めながら羽島市を中心に人がまわっていくような仕組みをつくれれば、観光資源が少ない中でも観光の都市になれると感じました。

東松さんの著作を紹介

「人生の中心が仕事から自分に変わる!休み方改革」

週末だけで世界旅行をしているリーマントラベラーが実践&提唱する、新時代の休み方+働き方=生き方本!

著=東松寛文

監修=田中正秀

徳間書店より発売中

定価=1500円+税

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