2023年04月01日

    生活保護制度の基本原理

     生活保護制度は、国民のためのものであり、わが国の社会保障制度の根幹をなすもので、最終の救済制度です。昭和25年5月、旧生活保護法が全文改正され、新しい生活保護法が制定施行されて今日にいたっています。
     生活保護は、厚生労働大臣が定めた保護の基準と、保護を受けようとする家庭の収入を比較して、その要否が判定されます。
     この制度には、国民全体の福祉の向上を図る社会的役割を果たし、また、その期待に答え得るようにするために、三つの基本原理が定められています。

    無差別平等の原理

    すべての国民は、この法律により保護を無差別平等に受けることができます。

    最低生活保障の原理

    この法律で保障される最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければなりません。

    補足性の原理

    生活に困窮する者がその利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活のため活用することを要件とし、また、民法に定める扶養義務者の扶養および他の法律に定める援助は、すべてこの法律による保護に優先して行わなければなりません。

    生活保護を受けるには

     家族全員の収入と資産の状況などから指定生活費が賄えない場合、生活保護法により、その不足する額の扶助を受けられます。最低生活費の額は年齢、性別、世帯構成などにより異なります。申請は本人か扶養義務者、同居している親族が行う必要があります。

    生活保護を受けられる場合の説明図

    生活保護の種類

     生活保護は、暮らしや病気で困っている人から保護の申請があると、保護の決定にあたって、その家庭を訪問し、実情を調査したうえで、その家庭の収入を認定し、保護の基準の最低生活費と比較して不足する分について支給することになっています。
     保護は、生活費の性格によって、次の8種類の扶助があり、生活の状態に応じて一つあるいは二つ以上の扶助が受けられます。最近の傾向としては、生活扶助と医療扶助の併給、医療扶助の単給がその多くを占めています。

    生活扶助

    衣食その他日常生活の需要を満たすために必要なもので、原則として金銭給付によって行います。

    住宅扶助

    家賃、間代、地代等を支払う必要があるとき及び、家具の補修、その他住宅の維持のため必要なもので原則として金銭給付によって行います。

    教育扶助

    義務教育に伴って必要な教科書その他の学用品、通学用品、学校給食費等その実態に応じて原則として金銭給付によって行います。

    介護扶助

    困窮のため、制定限度の生活を維持することのできない要介護者及び要支援者に対して、居宅介護・福祉用具・住宅改修等を原則として、現物給付で行います。

    医療扶助

    けがや病気で治療を必要とするとき、原則として現物給付によって行います。
    その内容は診療、薬剤又は治療材料、医学的処置、手術及びその他の治療並びに施術、病院等への収容、看護、移送です。

    出産扶助

    分娩の介助、分娩前及び分娩後の処置等で、原則として金銭給付によって行います。

    生業扶助

    生業に必要な資金、器具又は資料、生業に必要な技能の修得、就労のために必要なもので、その者の収入を増加させ、又はその自立を助長することができる見込みのある場合に限られ、原則として金銭給付によって行います。

    葬祭扶助

    葬祭を行う必要があるとき検案、死体の運搬、火葬を原則として金銭給付で行います。